整骨院での健康保険について
整骨院は健康保険を使用して施術を受けられます。ただ、整骨院は病院などの医療機関とは健康保険の取り扱いルールが異なります。一般的にはあまり知られていない様なので、ここでは整骨院の健康保険の取り扱いについて書きたいと思います。
健康保険は急性期の外傷のみ
冒頭で述べたように整骨院と病院では、健康保険のルールが異なります。まず、一番大切な事は整骨院では急性期の外傷のみ健康保険の使用が認められています。急性期の外傷とは2週間以内にぶつけた、捻ったなどの捻挫、打撲、挫傷、骨折、脱臼のことになります。また、一般的なイメージとして、怪我として認識されにくいようですが、交通事故での首や腰の捻挫は怪我となり、健康保険や自賠責、任意保険が使用できます。
慢性的な腰痛、肩こりで整骨院に行かれる方が多いですが、怪我でないので健康保険を使用した施術は行えません。ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛、変形性膝関節症、変形性股関節症なども怪我ではないので、健康保険を使用した施術は行なえません。但し、ヘルニアなどがあって重い荷物を持った瞬間にグキッと腰を捻挫する事はありますので、その際には健康保険の使用は出来ます。
繰り返し重い物を持って腰が痛くなった、家事などで肘や手が腱鞘炎になった、スポーツの練習で徐々に膝が痛くなってきたなど、繰り返しの動作、負荷によって痛くなった場合は怪我とは言えませんので、健康保険を使った施術は行えません。過去の怪我も急性期ではないので健康保険の使用は出来ません。
怪我以外で保険を使っている
9割以上の整骨院が怪我でなくとも健康保険を使っているという実情があります。20年以上前からこの事が問題となっており、近年は健康保険組合も厳しく調査を行っています。では、どのようにして怪我以外の施術で健康保険組合などに保険請求をしているのか?それは、整骨院が怪我の施術だと偽り、保険請求をしているのです。例えば、慢性的な腰痛は腰椎捻挫や腰部捻挫と偽って保険請求します。肩こりなら頚椎捻挫や背部挫傷。坐骨神経痛なら臀部挫傷。五十肩は肩関節捻挫。テニス肘なら肘関節捻挫。変形性膝関節症なら膝関節捻挫。などなど、痛みのある部位を捻挫や挫傷の怪我と置き換えて保険請求を行っているようです。当然ですが、これは不正請求です。整骨院で2週間以内の怪我では無いのに健康保険を使用している方は間違いなく、その整骨院は不正請求を行って不正な利益を得ています。医療費が高騰して社会問題となっている昨今、不正請求は許されないと私は考えています。
まとめ
整骨院は保険が使えるマッサージ屋さんだと認識し、利用している人は少なく無いようです。ただ、それは正しい認識、利用方法ではないと理解して頂けたのではないでしょうか。本来、整骨院は怪我の施術をする場所でした。しかし、整形外科が増えてきた現在では怪我の施術ではなく、慢性的な関節や筋肉の痛みや症状、自律神経の不調などで整骨院を利用する人が殆どです。もちろん、腰痛や肩こり、自律神経の不調による様々な症状を整骨院で施術する事に問題はありません。ただし、全額自費の場合に限りです。健康保険は一切使用できません。健康保険+自費の施術でも健康保険を1円でも請求している場合は不正請求となってしまいます。
健康保険を使用することで、負担額が減るので利用者さんには嬉しい事だと理解できますが、法律で決まっているルールは守らなければなりません。当院では法令順守、コンプライアンスを守って健康保険の使用を行っています。完全自費では利用しにくいとのお言葉があることは承知していますが、ご理解ご協力のほど宜しくお願い致します。